Bot Framework Composer を Chromebook で動かしてみました。
他の OS とは違って公式な手順が公開されているわけではありません。「やってみました」という内容です。
普通に考えて Windows (Mac でも Linux でもいいけど) があれば Bot 開発には困らないし、Bot Framework Composer もそれらで動作します。あえて Composer を Chromebook で動かす必要はないと思います。
が、せっかく 開発機としても使える程度の Chromebook を持っていることだし、ちょっと試してみました。
■ 必要なツール、フレームワークなどのインストール
Composer を動作させるために必要なツールやフレームワークについては こちらのページ にまとめてあります。
Chromebook で動作させるにも同様のインストールが必要です。
- .NET Core 3.1 SDK
- Node.js
- ngrok (開発するアプリにもよりますが必須ではありません)
ひとつだけ注意事項を挙げるとすると、Bot Framework Composer v2.1.x では .NET Core は 3.1 を要求します。6.0 だと Composer に怒られます。必ず 3.1 をインストールします。
■ .NET Core 3.1 のインストール
.NET Core のダウンロードページ で SDK をダウンロードします。
Linux 用のバイナリ でマシンの CPU に応じてパッケージを選択します。
ちなみに私の HP Chromebook x360 14c は Core i5 が載っているので X64 を選択しました。
ダウンロードできたら、ファイルを “Linux ファイル” にコピーします。

続いてターミナルを開いて(Chromebook の Linux 開発環境を有効にする話は割愛)、以下のコマンドを入力します。
ちなみにこのコマンドは、.NET Core SDK の “Thanks for download” ページ (SDK ダウンロードのリンクをクリックすると遷移するページ) に載っているものです。
mkdir -p $HOME/dotnet && tar zxf dotnet-sdk-3.1.418-linux-x64.tar.gz -C $HOME/dotnet
export DOTNET_ROOT=$HOME/dotnet
export PATH=$PATH:$HOME/dotnet
これだけだと次回ターミナルを起動した時にはパスが通らなくなるので、export している2行は ~/.profile の最後 にでも書いておきます。
Linux のお約束ですね。
■ Node.js のインストール
Node.js は以下のコマンドでインストールします。
こちらのページ が参考になりました。
curl -sL https://deb.nodesource.com/setup_14.x | sudo -E bash -
sudo apt install nodejs
これで Node.js v14.x がインストールできます。
■ ngrok のインストール
ngrok のダウンロードは こちらのページ から。
インストールのコマンドはダウンロードページに載っています。
ターミナルで、
sudo tar xvzf ~/Downloads/ngrok-v3-stable-linux-amd64.tgz -C /usr/local/bin
と入力します。
以上で、Composer 本体以外に必要なツールのインストールは終わりです。
■ Bot Framework Composer のダウンロードと実行可能化の手順
こちらのページ から、CPU に合わせて Composer の Linux 用のパッケージをダウンロードします。
ダウンロードしたら .NET Core のファイルと同様に “Linux ファイル” フォルダーにコピーします。
ファイルは AppImage 形式です。
Linux であればこれ自体がインストーラーなのでインストールできます。
が、Chromebook の Linux 環境には AppImage をインストールすることはできないようです。
そこで次の手順です。
まず AppImage を実行可能にします。
sudo chmod a+x ./<ダウンロードしたComposerのイメージ>.AppImage
Composer の起動はターミナルで以下のように入力します。
./<ダウンロードしたComposerのイメージ>.AppImage
これで Bot Framework Composer が起動します。おめでとう!

Composer を実行するには毎回ターミナルからコマンドで起動するしかないようです。
ランチャーが作られるとよかったんですが、ここは残念。
■ (おまけ) Bot Framework Emulator の利用
Bot Framework Emulator も Chromebook で実行可能です。
手順は Composer と同じ。
こちらのページ で Linux 用のパッケージをダウンロードします。
Composer でやったときと同じ手順で、ダウンロードしたファイルを “Linux ファイル” にコピーして、chmod します。
起動も Composer と同様、ターミナルから行います。
一つ残念なのは Composer の環境から Emulator を起動することができないこと。
Emulator でテストやデバッグを行う場合は、Composer で Start Bot して、Emulator を別途起動します。
Emulator で http://localhost:ポート/api/messages を開けば、Composer で開発している Bot と対話できます。
以上で Bot Framework Composer を Chromebook で実行できました。
他の OS と比べてメリットがあるかと言われれば、特になにかあるわけではないのは事実です。
ですが、Chromebook でも実行できるというのはなにか嬉しいです。
私の場合は気分転換も兼ねてマシンを変えたいことはあるので、Chromebook を使う理由づけになります。